2018年9月9日日曜日

霧箱再検討 その2

 
前回から随分と間が開きましたが、依然として検討を続けています。
何とかしてスイッチポンで動く霧箱を作りたいのですが、なんだかんだで進捗していません。空冷で動く教育用途の製品はありますので物理的には可能なはずですが、安く作るというところがネックであります。
みら太な日々の趣旨としては金使って出来ても何にも面白くないわけでありまして、何とかその辺に転がっているもので作ってしまいたいと思って考えてきました。
しかしながら、さすがに投資ゼロというわけにもいきませんので、今回ちょいと頑張って使えそうな雰囲気のものを入手しました。

それがこちら、結構しっかりしたクーラーです。


ヒートパイプが6本アルミフィンの中に突っ込まれております。風を送ってフィンを冷やしてやれば結構放熱できそうであります。


こんな型番。ハードオフイオン佐賀店で1600円を投下して入手しました。


12cmのファンの取り付けもできるということで、そのための金属治具も付属しています。


問題は設置方向の自由度です。
ヒートパイプはパイプ内に封じ込められた冷媒としてのアルコールやフロン、水などの液体が熱いところ、霧箱の場合はペルチェのホット側で気化してパイプ内を移動し、コールド側すなわちアルミフィン側で冷やされて液体に戻るというサイクルを繰り返します。このサイクルがうまく回るかどうかは、コールド側で液体になった冷媒がホット側までちゃんと戻ってくるかどうかで決まります。
PCのCPUはマザーボードの上に乗っていますので、クーラーはさらにその上に乗っかる形になりますよね。で、横置きのデスクトップPCなんかであればマザーボードもCPUも机の天板面に平行に置かれることになりますから、クーラーはCPUの上に直立します。この時ホット側は下、コールド側は上になりますので、よほどへたな設計をしない限り上にあるコールド側で液体に戻った冷媒は重力で下のホット側に落ちてくるはずです。そしてまたそこで気化して...というサイクルがうまく回ります。
ではタワー型のPCなんかではどうかというと、この場合はマザーボードもCPUも机の天板に対して直立している構成がほとんどです。よって、この場合はクーラーは横向きに寝かせて取り付けられることになります。こうなるとうまくヒートパイプの這わせ方を考えないと凝縮した冷媒がホット側に戻ってこないことになります。
例えば、CPUが左側にあり、ヒートパイプが右側にある場合、ヒートパイプを ┒ の形に作ってしまうと、右下に溜まった冷媒はCPU側には戻ってきません。この場合は ┚ こうパイプを配置するべきであります。
この辺りは私がくどくど書く必要もなく、先人たちによって検討されつくしております。
で、ヒートパイプを横や下向きに這わせる場合の対策もとっくの昔に行われております。代表的な策は毛細管現象を使って液化した冷媒をホット側に引き戻すという方法です。
ヒートパイプ 自作」という非常に魅力的なキーワードでGoogle先生に質問すると膨大な情報が返ってきます。MAKE:にも取り上げられています

物理的な熱の移動として伝導、対流、輻射の3つがよく取り上げられますが、ヒートパイプの考え方はそのどれとも異なる、いや伝導の拡張型といえばいいですかね、気化に伴うエンタルピー変化と生じた気体のパイプ内の高速移動の相乗効果を使える熱の搬送方式です。そのため体積当たりの熱搬送能力は非常に高いです。が、それも上に書いた「サイクル」が上手く回ってくれるかどうかで決まります。
長々書きましたが、総括すると一般的なヒートパイプを使ったCPUクーラーにも上記対策は行われています。がそれでも設置方向による特性の違いは避けようがないというのが現状のようです。

ではこのような状態のCPUクーラーをペルチェ霧箱に応用するとどうなるでしょうか。
これは簡単で「最も効率が悪そうな」使い方をすることになります。
ペルチェ霧箱のホット側は下側にあります。つまりクーラーが冷やす対象は床でも壁でもなく天井なのです。完全に倒置状態で動作させることになります。この場合冷媒をホット側に戻すのに重力は一切期待できず、というか重力は阻害要因でしかありません。

この辺を頭に入れつつCPUクーラーを使っていくことになります。
こんなこと考え始めると「ヒートパイプ 自作」というのが頭をもたげてくるのですが(笑)あんまり脱線すると収拾がつかなくなるので、ここはまず入手したクーラーをいじくりまわすところから始めたいと思っております。

ではどういじくるかですが、まずは入手した"みら太な日々的には高級な"クーラーの能力評価からでしょう。様々な設置方向と熱源の組み合わせでどの程度の冷却が期待できるかを調べていきたいと思います。
まずは実験系の構築です。MFT2016に霧箱を出展した時に作った温度計を使って温度計測を行います。


が、センサーをMFTで使った超薄型のもの(二枚しか持ってない)から通常のリードタイプのNTCサーミスタ(たくさんある)に変更します。このサーミスタはチップサーミスタにリード線付けて封止したタイプで、頭の大きさは1mmないくらいですのでまあまあのレスポンスは期待できるだろうと考えております。


何も考えずに47kΩのものを買ったのをちょいと後悔。薄型のものは10kΩ品なので換算式の計算をやり直す必要があります。これなかなか面倒なのであります。


長め&細めのリード線を準備し、


ハンダ付けします。



センサ部完了。


基板側コネクタ作ります。


元よりコネクタ作りは好きでしたが、このカシメ治具入手してから一段と楽しい作業になりました。日圧の純正品は目ん玉飛び出る値段ですが、こちらの中華治具はみら太な日々のレベルにあった良心的なお値段であります。


買ったのはコレ。ちょいと改造が必要でしたが、送料入れても2000円程度と良心的。


作っていきます。


芯線と被覆二か所のカシメを一発で行い、ピン全体を押さえますので変形は一切なくきれいに仕上がります。


出来上がり。


薄型サーミスタのスケッチのまま接続すると...


01が薄型サーミスタ、02が今作った47kオームの表示。めっちゃくちゃな温度指してます(笑


指であっためると変化するので動作はしているようです。あとは換算式ですね。


換算式についてはたくさん情報がありますので割愛します。例えばこの辺りにやり方が書いてあります。指数表現になっている関係式を温度Tで解いてやるだけです。Arduino の標準環境でも対数系の関数が使えます。以前はmath.hをインクルードしていたような気がしますが、いつの間にか使えるようになってますね。勘違いかな。

紆余曲折の後、(誤差は追及しないとして)それなりの温度表示をするようになりました。


冷やすとちゃんとそれっぽい値が。


精度はさておいてとりあえず温度の測定環境はできました。
ペルチェのホット側とコールド側で二本のプローブでいいでしょう。アナログポートは余りまくってますので数増やすのは簡単にできます。

次に駆動側を作ります。
通電しっぱなしでは制御もへったくれもありませんので、PWMで通電できるような駆動回路を作ることにします。
スイッチはジャンクのFET使うことにします。どこから外したのか全く覚えていませんがたくさんあります。


いずれペルチェを二段スタックにすることを想定して、2チャンネル分作っときます。
同じ品番のFETを探し出しました。


型番を元にdatasheet探します。それにしてもべんりな時代になったものです。
ひと昔前なら規格表とにらめっこか、そもそも規格表を見にどっかの店に行く必要がありました。


うまい具合に扱いやすいNchです。手持ちのペルチェは行っても一けたアンペアまでですので50Aの電流容量も十分です。


お約束としてdatasheetには一通り目を通しておきます。


ヒートシンク要らん説もありますが、こちらもジャンク品を多数取り揃えて(笑)いますので活用することにします。



これでいいかな。


ユニバーサル基板引っ張り出してレイアウト検討します。
PWM源はArduino nano の中華クローン、これにVRの分圧入れて、その電圧を元にPWMデューティを変化させることにします。
デューティー比はどっかに表示させたいとも思いましたが、そのためにもう一枚LCD使うのももったいないのでモニタ用のLEDのみつけることにしました。こ奴の点滅でおおよそのことは分りますし、正確な値が欲しくなればArduino のシリアルから抜けばいいだけです。ということでこんな感じの構成に決定。


ヒートシンクと、


VRの爪はユニバーサル穴には入りませんので、位置決めをしてドリルでバカ穴開けます。


これらを基準にして全体を作り込んでいきます。


今回ケチな新たな取り組みとしてアイロンビーズをスペーサ代わりに使うことを検討しました。
アイロンビーズはご存知ですかね。私には娘がおりませんのでいままで直接触る機会はなかったんですが、kama_AGEさんらのこの辺りのご活躍で初めてその存在を知り、店頭でものを見たときにどうしてもM3のスペーサにしか見えず(笑)、その驚安の価格もあっていずれ何かに使ってみたいと思っていた素材です。


で、今回入手してM3ねじを突っ込んでみたら、あら予想通りぴったりであります。
つか、スペーサとしてはぴったりではいけないのですが、M3の小ねじがちょうどいい硬さでねじ込めるというか、タッピングネジ使っているような感覚で締め込みができるのです。これは良いです。
このアイロンビーズについてはほかにもいろいろアイデアを温めておりますのでそのうち試していきたいと思います。色違いのビーズで文字表示したケース作るとかね。かわいらしいものが出来そうです。
アイロンビーズは、すごく安くて、しかしながらサイズが高精度にそろっていて、色が豊富で、熱で加工が出来て、というお子様たちだけに独占させるのはあまりにもったいない素材です。皆様もなにか考えてみてはいかがですか。


さて、配線を続けます。


nanoにピンヘッダつけて、


基板にはピンソケット立てて抜き差しできるようにします。



スズメッキ線でGNDラインを配線。


ゲートからキャリアを抜くための抵抗つけて、


ゲート抵抗つけて(適当


その他実装して、


VCC側と、


Logicを配線していきます。だんだん見苦しくなって行く(笑


つまみつけて出来上がり。


ペルチェは二段で、それぞれ5Vと12Vを印加することになると予想しています。


温度計測と基板をそろえたのでなかなか良い感じであります。


次のステップはPWM駆動のためのスケッチと動作テストです。

2018年9月2日日曜日

みら太な法華院温泉の旅

 
本州にお住まいの方もひょっとすると坊がつるという地名をご存知かもしれません。
坊がつるは九州本土の最高峰九重中岳(1791m)の麓、高度約1200mに広がる湿地帯で、ラムサール条約にも登録されています。
この坊がつるには歩いてしか行けない法華院温泉山荘という山宿があります。一昨年行った尾瀬湿原の宿と似ています。8/12-13のペルセウス座流星群の極大日にこの法華院温泉山荘に一泊してきました。
ブログの趣旨とは離れますが、たまにはいいでしょ。

坊がつるには法華院温泉以外でも何度も行ったことがあります。私はいつも北側の吉部登山口から鳴子川沿いを登っていきます。
横浜生活の時には帰省してもう一歩足を伸ばすのが億劫でしたので久しぶりであります。
見てくださいこの風景。


こんな風景の中を1時間半くらい歩いていきます。


すると視界が開けて山に囲まれた坊がつる湿原に到着します。緑一色。
奥に見えている山は平治岳。


湿原には尾瀬と同様こういった板が渡してあります。


二時間程度で法華院温泉山荘に到着します。



個室で120人、大部屋で120人を収容できる大規模な山荘です。


個室が集まる棟の中の様子。


山小屋って感じで行きたくなるでしょ。ほんとにいいとこなんですよ。
写真はありませんが、温泉がありますのでゆっくりと汗を流すことができます。


物資が豊富なのは山荘だけは車を使って輸送ができるからです。
登山道とは別に林道が整備されており、特別な許可を受けた車両は山荘まで入ってくることができるのです。


そのおかげで夕ご飯はこんなにメニューが充実していますし、



自動販売機だってあります。しかもいわゆる山料金も50円程度と非常に良心的です。
このほかにビールの自販機が3台くらいあります(笑
尾瀬や中部山岳地帯の山小屋へのヘリコプター輸送、富士山のブルドーザ輸送などに比べて圧倒的にコストが安からこそ実現できる価格です。ありがたいことです。


今回の目的は登山ではなく流星を見ることです。
見てくださいこの美しさ。都会に住んでる方は天の川見たことがありますか?しtの写真の中央部にぼんやりと見えている雲のようなものが天の川です。左下には大接近中の火星が明るく輝いています。


天頂付近。夏の大三角形が美しいです。織姫(ベガ)、彦星(アルタイル)そして白鳥座のデネブが明るく輝いています。ど真ん中は天の川。織姫彦星が天の川を隔てて分かれている、という七夕伝説そのままの景色です。


シルエットは平治岳。
ちなみにこれらの写真は私が愛用しているHUAWEI P9を三脚に固定しての30秒間シャッター開放による撮影です。結構きれいに写るでしょ。


さすがに流星を動画で撮るほどの機能はありませんので流星群の写真はありませんが、今年は新月に近い絶好のコンディションでしたので二時間で50個くらいは見れたと思います。それはそれは美しいものでした。深夜にも関わらず周りでもたくさんの人が観察していて、大きな流れ星が見えるたびにあちこちから歓声が上がっていました。

で翌朝。朝食です。


食堂&ラウンジ周りの写真を何枚か。




ピアノもあります。たまにコンサート開かれています



外に出てみます。


13日の朝は青空が美しい最高のお天気でした。いやほんとに心が洗われます。



さて、ここからは若干ですがブログの趣旨を意識しつつ山荘の設備を観察してみましょう。
これは冬用の車両ですね。この辺りは高度1000mを越えますので九州といえども冬は雪がしっかり積もります。


山荘の裏手ではディーゼル発電機が複数稼働しています。
山荘に電気は引かれておらず、電力はすべてこの発電機で賄われています。
DENYOのHPにある外観写真からこのモデルはDCA-30EXと思われます。100V-136Aの二出力、合計30kVAといったスペックと思われます。


もう一台同じようなサイズの発電機があります。当然バックアップはあるでしょう。


燃料タンク。30kVA程度の発電機は100%負荷の状態では1時間に8L程度の軽油を食うようです。フル稼働させると一日でドラム缶1本です。燃料代だけで2万円を越えますね。なかなか大変な量です。


ということで当然のようにドラム缶があります。


配電盤の元締め。


ここから各棟に電気が送り出されています。


ガスは当然プロパンです。


水だけは潤沢にあります。しかも最高の澄み切った水です。夏場でも恐ろしく冷たいです。手を洗う間にしびれてしまうくらいの冷たさです。



こちらは食堂の片隅にあるテレビアンテナ系の配線。
地上波は全く受信できません。衛星のみです。


昔は無かった監視カメラ。こんな山の中には似合わないと思うんですが...。


これは長さから想像するにFMかな。


衛星アンテナ。日本中どこにいても、いや世界中どこにいても衛星放送のアンテナ見れば正確な方角を知ることができます。北半球か南半球かはわかっている必要がありますけどね。


様々な補修用資材。



トイレはなんと水洗、簡易水洗です。とてもきれいです。
山小屋のトイレはお世辞にも褒められたものではないことがほとんどです。が、ここはウォシュレットこそないものの、山小屋としては女性でもきっと満足の設備です。




各棟の電気配線は廊下に沿って這っています。


エアコンのホースカバーが活用されてますね。


宿泊施設ですので非常口、火災警報、館内放送等しっかりと装備されています。


証明はほぼ全てLEDに代わりました。


個室の中には電灯はありますがコンセントはありません。その代わりに廊下のあちこちに共用のコンセントがあります。スマホの充電などはここを使わせてもらいます。



火災報知機と避難経路説明図。


ベル。もちろん別系統で配線されています。


火災と煙探知機。


大型消火器が廊下の隅に置いてあるほか、小型の消火器はあちこちに配置されています。



以前は白熱電球だったと思われるこういった照明もすべてLED化されています。


個室棟の二階に上がってみます。


こちらももちろん非常時の備えは万全です。


大部屋。



ベランダには別の種類のアンテナが。
長さと構造からアマチュア無線の2mバンド、3段コリニアアンテナではないかと推測。
下界との交信というより登山路との連絡用でしょう。


大部屋の壁にはアルファベットのパネルが貼ってあり、それに従って宿泊者の場所が決められます。ごはんの時もこのアルファベットで呼び出しが行われます。



大部屋は区画によってブレーカーがあるようですね。



階段室の片隅にはこんなものが。コンサート用かな。


階段の雰囲気もいいですねえ。


これはジャンダルムではないですか。なぜこんなところに。


ラウンジには大型テレビが置かれているほか、天井にはプロジェクタ用のスクリーンも取り付けられています。


定番の漫画群が(笑




グループで食事ができる個室もあります。




ラウンジの中央にはこれが。
さすがに今回は置いてあるだけでしたが、おそらく9月中には使われるんじゃないでしょうかね。


今年の行事です。通年で開いています。今度冬に行ってみたい。


ということで、法華院温泉山荘でした。名残惜しいですが下山します。


法華院温泉山荘全景。


来た道を戻ります。



ここが林道の入り口。ゲートには鍵が掛けられております。


登山道入り口。


そんなに厳しい山ではありませんので死人が出るほどの事故ははるか昔ですが、今でもたまに遭難する人はいます。舐めてはいけません。


登山道の一部には硫化水素ガス濃度によって通行禁止になるところがあります。


下りてきました。ここは吉部からぐるっと回った表玄関の長者原。
写真は九重のガイド犬として有名だった平治号です。今でもお参りをする人が絶えません。


ということで、天候にも恵まれた素晴らしい山行きでした。
また来年も必ず行きたいと思います。