2013年10月19日土曜日

CO2レーザ ファーストライト

 
ついに発振に成功しました!
がんばってきた甲斐がありました。絶対出力も効率的もまだまだ劇的な改善が必要ですが、間違いなくレーザ光を取り出すことが出来ました。
ではその後を。

光共振器の調整が出来ましたので、ガスの準備に入ります。
計画当初は封じ切りタイプのシールレーザを目指しておりましたが、色々と情報を集めるうちに、フロータイプでやるのが現実的との方向に落ち着きました。フロータイプとは、レーザ管を真空ポンプで常に減圧し、新しいガスを供給しながら動かす方式です。レーザ管内に導入されたガスは一定時間プラズマ化されてレーザ発光しますが、すぐに真空ポンプに引かれて排気され、新しく入ってくるガスと入れ替わります。
ガスを使い捨てながら動かしますのでたくさんのガスが必要な反面、ガスをプラズマ励起する事によって生じるCOなどの分解生成物の影響を無くす事が出来るというメリットがあります。
何より、素人には気密性の高い封じ切りのレーザ管を作ることが非常に難しいので、フロータイプにならざるを得ないというのが現状のようなのです。

前置きはこれくらいにして。
シリコンチューブを準備します。


このくらいの長さに切って、


全反射ミラー側のバルブに短いウレタンチューブと共に取り付けます。


シリコンチューブの先は折り返してクリップで止めます。これでチューブは閉じた状態になります。


真空引きをしながらリークを検査します。
結局3本のバンドで締めてやっとリークが止まりました。


スライダック、ネオントランス、高圧ダイオードブリッジを配線し、光取り出しミラー側(写真奥側)をプラス、全反射ミラー側(写真手前)をマイナスに配線します。
レーザ発振とレーザ管の極性は関係ありませんが、マイナス極側はスパッタによってミラーが汚れる可能性がありますので、今のところ作るのにより工数の少ない全反射ミラー側(HDDのプラッタを切り出した平板で穴加工無し)をマイナスとしました。


シリコンチューブは全反射ミラー側のバルブに取り付けています。光取り出しミラー側はバルブを介して真空ポンプに繋ぎます。


ガスを混合します。
今回は本番の実験ということで要らぬ不確定要素を持ち込みたくないので、これら純ガスを使う事にします。


適当な Zip lock 袋とシリンジ、ニードルを準備します。


ニードルは袋に穴を開けて中に刺し込み、ガスが漏れないようにテープで止めます。


反対側にボンベのチューブを差し込みます。
そしてボンベを繋いで少量のガスを袋の中に送り込み、一定量をシリンジの中に吸い込みます。
今回はCO2を10ml、窒素を20ml、ヘリウムを70mlという比率で混合しました。


3種のガスを吸い込んだシリンジ。ニードルの先端はシリコンゴムのブロックを刺してガスが逃げないようにします。


ニードルを先ほどのシリコンチューブに刺し、レーザ管にガスが供給できるようにします。


こんな感じ。


そして今回最も悩んだ挙句トライしてみることにした光取り出し窓材。なんとポリエチレン袋の切れっ端です。ポリエチレンは遠赤外光を結構透過します。焦電素子を用いた人感センサなどにレンズとして使われているくらいです。吸収が大きければたちまち溶けて真空が破れると思いますが、うまくいけばこんな簡単な窓材はありません。ということでやってみる事に。


いよいよ通電ですが、最初からドカンと光が出るとも思えないので、まずは感熱紙が変色するかどうかを調べる事にしました。遠赤外光が出れば熱によって感熱紙が黒く変色するはずです。

使うのはレシート。


で、真空ポンプを起動し、電圧をかけてレーザ管にプラズマ放電を起こした状態で全反射ミラー側のバルブを少しずつ開けてレーザガスを管内に導入していきました。
レシートの表面にはぼんやりと窒素が励起したときの紫色の光が映っています。が、なにも起きません。何度か場所を変えたりしながらバルブをいじります。あんまり開けすぎるとプラズマが消えてしまいますので開けばよいというものでもありません。

そうこういじりながらレーザ管を見ていると、プラズマの色が窒素の紫からやや黄色味がかった色に変わったなと思った瞬間、レシートが焦げました。

 発 振 成 功 で す !!


一瞬の出来事でした。確かに焦げています。


こんな感じ。


で、もう一箇所やってみたところ、今度もある瞬間で焦げました。ガス圧の調整がなかなか難しい。プラズマが消えるぎりぎりのあたりが発振のポイントのようです。


とか思いながら、何気なくレシートの裏を見てみると、何ヶ所も変色した跡があるじゃないですか。
レシートの感熱って片面でしか起きないんですね。知りませんでした。
ということで、焦げに気がつく前の時点でも弱いながらレーザ光は出ていたという事になります。
そういわれて見ると、上の写真でもうっすらと反対側の変色が見えますよね。


レシートを新しくしてさらに何回か発振を試みます。


だんだんとコツがわかってきました。やはりプラズマが消えるぎりぎりのあたり、結構ガス圧が高いところで焦げます。ガス圧と出力が比例するという Sam's laser FAQ の情報の通りです。


こんな感じ。


表側。


今回犠牲になったレシートたち。


 一ヶ所については一瞬炎も見えました。右側の穴が開いているところです。穴は相当小さいですね。レシートの変色跡から見るに、ビームはちゃんと円形をしており、ガウシアンっぽいエネルギー分布になっているようです。今の光取り出し穴は約2mmですが、レシートに出来た変色は5mmくらいあります。出射口の極近くに置いたにも関わらずです。これは結構ビーム広がりが大きいことを意味します。今後気をつけておく必要がありそうですね。


光取り出し窓材として使ったポリエチレンシート。やはり変形しておりました。ビームの広がりはこのシートの変形によるものかもしれません。レーザ管内の減圧によりシートは光取り出し窓で凹状に変形するはずですので凹レンズとして作用してもおかしくありません。


しかしながら、何はともあれ発振成功です。これまでにやってきたことが大きく間違ってはいないことがわかって一安心しました。
まだまだ先の改善の道のりの方が長いですが、本日の成功は大きな一歩であったことは間違いありません。

ちなみに、感熱紙の変色は70度付近で生じます。また紙は300度くらいで発火します。ということで少なくともレシートの表面はその程度の温度まで加熱されたということです。
出力的にはまだたいしたことは無いでしょう。おそらく500mW~1Wというあたりではないかと思います。効率もがたがたです。
がんばって改善して行きたいと思います。

4 件のコメント:

  1. 一瞬炎が出たならば5Wくらいの出力が出ててもおかしくないですよ。
    手元に2Wのブルーレーザーと1Wの赤外線レーザーありますが
    その出力じゃ一瞬で燃えることはありません。
    集光率が高い場合はなんとも言えませんが。
    集光率が高い時は一気に高温になり燃えるので、熱や燃焼で大きい穴が空くので
    今回の実験では最低でも2Wくらいは出ていたはずだと思いますよ。

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    1. 2Wですか、それくらい出てくれているといいのですが、なんとも一瞬のことなので良くわからないのです。設計上の期待値上限は30Wですのでその1/10くらいでは動いていたのかもしれません。
      とにかくこれで間違ってないことはわかりましたので、まずは安定して動かせるようにしないといけないですね。
      ちなみに集光は全くしてません、というかむしろ発散してます。コリメートと集光をどうやるかは今後の課題です。中華のレンズを買えば解決するのですが、ZnSeを使うのは最後の手段にしたいと考えています。
      どうぞ今後もおかしなことをやってましたらご指導くださいませ。
      ありがとうございました。

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  2. どうも、ウェイです。

    CO2レーザ発振成功おめでとうございます。
    私もこの記事を拝見して思わず凄いの一言です。

    まだまだ改善や調整等あるとの事ですが、
    良い成果が得られることを期待していますので
    頑張ってください。

    話変わって、Maker Faire TOKYO 2013の件
    ですが、私も月曜日に参加したいと思っています。
    詳細については後日、メールしますので
    よろしくお願いいたします。

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    1. ウェイさん、ありがとうございます。
      ようやくというか、ちゃんとやったらあっさり発振して拍子抜けしたというか、そんな感じです。とりあえずは一山超えて安心しました。
      最近はニコ動からの圧力も感じていたもので、期待の一端には応えられたのかなと思っております。
      今後はまず第一に冷却ジャケット追加、そしてミラーの銅スパッタ、ガスの定量供給、圧力の自動制御、等々いろいろとやらねばと考えております。ガスへの出費のことを考えると可能な限りヘリウム消費の少ない、あるいはヘリウムを使わない系を作りたいところです。

      Maker Faire の件、了解です。楽しみにしています。
      チケット買ったのですが、やっぱり二日のうちのどちらかしか行けないようですね。私も予定通り月曜日参加です。
      連絡お待ちしております。
      ありがとうございました。

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