2018年10月8日月曜日

ハリヤ礼賛

 
まだ一年を振り返る時期でもありませんが、今年わが家はいろいろな動きがありました。人生レベルで結構大きな動きであります。
4月には息子が就職して家を出て大阪へ行きました。で、それと入れ替わるように私が単身赴任を終えて横浜から福岡へ戻ってきました。
そしてさらに、この8月末をもって私は24年間お世話になったPで始まる巨大電器メーカーを辞め、9月より従業員数25人あまりの材料系ベンチャーに転職いたしました。
転職は以前より人生設計の中にありましたので、ほぼ計画通りというところです。子供も就職して手がかからなくなりましたのでもう好きに生きてもいいかなと。

例によって前置が長いですがもう少し続きます。
転職した会社は非常に面白いところなんですが、それは置いておいて、職場は福岡市の南側の某市にあります。ということで、通勤をどうするか非常に迷ったのですが、結局電車で通うことにしました。車で行くと1時間くらい。電車だと駅までと駅からの移動がありますので合計すると1時間半くらい。時間だけ見ると車一択のようにも思えますが、電車通勤は横浜生活で慣れましたので抵抗ありませんし、電車の中は本読むなり寝とくなり好きにできます。そんなわけで電車にしました。
さらに続きます。

で、9月ひと月通勤してみて電車にも慣れたのですが、一つ問題がありました。それは自宅から最寄り駅までの移動です。
私の自宅は福岡市内の山の中腹にあります。結構高度があるのです。その自宅から最寄り駅までは自転車で通っていました。朝は坂を下るだけでなので当然楽勝であります。が、そのツケは帰りに払うわけです。
以下略。

そんなこんなで、電動アシスト自転車を購入しました。
それがあまりに素晴らしいので投稿にまとめておこうと思った次第。

前振りを途中でぶった切りましたが、結論としてどの程度の高さなのかというと、これくらいです。ここは自宅の少し上の公園です。標高50m位かな。福岡市一望であります。


眺めがいいとか夜景がきれいだとかそんなことが気に入って買ったのですが、景色なんざあっという間に飽きます(笑
で、先週までは駅がある海抜数mからここまで自転車で登ってきていたのです。半分くらいは乗って頑張るのですが、後半は下りて押しています。もう涼しくなってきているというのに毎日汗だくでありました。

さて、電動アシスト自転車(以下電チャリ)の存在は発売当時から知っており、長い間気になる技術の一つではありました。もう二十年以上前に試乗も済ませており、最初に乗ったときの驚き「うわ、いきなり押すんじゃねえ!」というあの感じも承知であります。
おおよそ新しいテクノロジーというのは新しい体験と驚きをもたらしますが、その中でも電チャリはこれまで私が驚いた民生技術のベストテン上位に入ります。ちなみにそのほかの私の驚きは、ヘッドホンステレオを初めて屋外で使った時、CDを聴いて全くの無音から音が出てきたとき、iPhone初めて触った時、ウォシュレットを初めて使った時、等々。皆さんにもなんらかこれまでに驚きを覚えた経験がありますよね。

ということで、買ったのはパナソニックのクロスバイク型の電チャリであるハリヤです。


別に前職に義理立てたわけではなく、用途、価格、デザイン等々多角的に検討した結果の結論であります。そもそも電チャリ、特にクロスバイクやロードといったいわゆるかっこいい系の電チャリを作っているのはパナとヤマハしかありません。最近こそ海外メーカーが参入してきておりますが、福岡ではまだ実車を見ることすらむつかしい状態です。
ということで、ハリヤ、ジェッター、ベロスター、PAS Brace/VIENTA5 あたりからの選定でハリヤに決めました。まだ走り出して3日目ですが満足ゲージはMAXに張り付いたままです。12万あまりの出費でしたが、これほどの満足感を味わう買い物は久しぶりであります。昨日は福岡市の中心部である天神へ買い物に乗っていき、今日の午前中はハリヤたん(笑)のアクセサリを探すべくあちこち走った挙句、自宅までの登坂を4往復くらいしてました。いやマジで汗一つ出ません。口笛吹ながら登ってくることができるのです。

電チャリの走行感はバイクとも車とも違います。これは経験しないと言葉で伝えるのはなかなか難しいと感じています。
特に登坂の感覚は特別なものがあります。エンジン付きの乗り物は「ぶおー」といわせながらいかにも頑張っている感じで坂を登りますが、電チャリは実に静々と登っていきます。もちろんフル電動自転車ではなく電動”アシスト”自転車ですのでペダルを漕がないと登らないわけですが、その走行感覚は実に不思議なものになります。ペダルを踏み込む重さと視界に捉えられる坂の斜度と走行スピードの関係が今までの経験にない組み合わせになるため、物理法則を無視している感が脳を混乱させるのだろうと思われます。
「この坂ならこれくらいの気合を入れて行け」という脳の命令に対して「ペダルが全然重たくありません」という信号が脚から帰ってきますからね。

電チャリのすばらしさは登りだけでなく平地でも発揮されます。
まずそもそも平地といいつつ全く平らな土地なんてそうあるもんじゃないです。どこだって微妙に上り下りがあります。これは車で走っていてもわかりません。自転車に乗って初めて「ここはだらだら登っていたのか」ということに気づかされます。
で、電チャリに乗っているとこれを感じることが無くなります。荒っぽく言うなら「世界から上り坂が無くなって、平地と下り坂だけになった感じ」が近いと思います。自分だけ周りとは違うポテンシャル場にいるというか、そんな感じです。
そして何よりも平地でのアシストのすばらしさは発進時にあるでしょう。漕ぎ出しの時一瞬の間をおいて後ろからぐっと押されます。楽なんてもんじゃないです。
乗ってみて発見だったのは、この発進時のアシストがあるおかげで、止まること、減速することを厭わなくなったことです。
自転車に乗っているとできるだけ一定速度で走ろうとしますよね。そのためについつい減速/一旦停止すべきところを突っ切ったりしてしまいがちです。たとえば道路沿いの店舗の出口は車が頭を出す可能性が高く非常に危険なところですが、電チャリならここで減速してしっかり確認をしてもそのあとのリカバリーにほとんど力が要りません。ということで、「ここは減速して安全確認すべきだよな」と思っているところを思いの通りに実行できるのです。これもまた素晴らしい事だと思います。

ハリヤ礼賛

さて、このような素晴らしい電チャリですが、その中でもハリヤに決めたのはいくつも理由があります。
まずはなんといってもデザイン。見ようによってはボトムブラケット周りのモータ、そしてぼってりとした電池周りに「だせえ」「ずるすんな」なんてイメージを持つ方もいらっしゃるかもしれませんが、一方で「先進的」「ハイブリッド」な近未来感もありませんか?好みは人それぞれと思いますが私は後者で、このデザインはかっこいいと感じています。
電動アシスト自転車が世に出た当時から「スポーツタイプはよ」と思っていました。ハリヤは比較的早い段階からクロスバイクタイプとしてリリースされ、性能もデザインも洗練されてきたと感じています。
それからフロントサスと太いタイヤ。これもハリヤを選んだ理由です。いずれも重量増、スピード感の低下の方向ですが、街乗り、歩道の凹凸への対処を考えたときには頼もしい特徴です。
小さいことですが、グリップとサドルの形状も選定ポイントです。特にグリップ。手のひらをしっかり受け止める平べったい形状のグリップです。これがじつにホールド性が良いのです。ぜひ実車を触ってみてください。

電チャリは実に実に素晴らしい技術であるとあらためて強烈に感じています。地上を移動する手段は数多ありますが、その中でも筆頭に近いと思われるエネルギー効率、静かさ、さらに環境にやさしく健康にも良いといいことづくめであります。今のところ欠点を思いつきません。
まだ電チャリのご経験がない方はチャンスを見つけてぜひ乗ってみてくださいませ。

さて、この三日で50km以上走り、急坂を繰り返し上り下りして9%まで電池の容量を使いました。ハリヤに付属するバッテリーは25.2V-12Ahです。これを専用充電器で4時間ちょいで満充電します。




月曜日からの通勤が楽しみです。
安全に楽しく乗り続けたいと思います。

2018年9月9日日曜日

霧箱再検討 その2

 
前回から随分と間が開きましたが、依然として検討を続けています。
何とかしてスイッチポンで動く霧箱を作りたいのですが、なんだかんだで進捗していません。空冷で動く教育用途の製品はありますので物理的には可能なはずですが、安く作るというところがネックであります。
みら太な日々の趣旨としては金使って出来ても何にも面白くないわけでありまして、何とかその辺に転がっているもので作ってしまいたいと思って考えてきました。
しかしながら、さすがに投資ゼロというわけにもいきませんので、今回ちょいと頑張って使えそうな雰囲気のものを入手しました。

それがこちら、結構しっかりしたクーラーです。


ヒートパイプが6本アルミフィンの中に突っ込まれております。風を送ってフィンを冷やしてやれば結構放熱できそうであります。


こんな型番。ハードオフイオン佐賀店で1600円を投下して入手しました。


12cmのファンの取り付けもできるということで、そのための金属治具も付属しています。


問題は設置方向の自由度です。
ヒートパイプはパイプ内に封じ込められた冷媒としてのアルコールやフロン、水などの液体が熱いところ、霧箱の場合はペルチェのホット側で気化してパイプ内を移動し、コールド側すなわちアルミフィン側で冷やされて液体に戻るというサイクルを繰り返します。このサイクルがうまく回るかどうかは、コールド側で液体になった冷媒がホット側までちゃんと戻ってくるかどうかで決まります。
PCのCPUはマザーボードの上に乗っていますので、クーラーはさらにその上に乗っかる形になりますよね。で、横置きのデスクトップPCなんかであればマザーボードもCPUも机の天板面に平行に置かれることになりますから、クーラーはCPUの上に直立します。この時ホット側は下、コールド側は上になりますので、よほどへたな設計をしない限り上にあるコールド側で液体に戻った冷媒は重力で下のホット側に落ちてくるはずです。そしてまたそこで気化して...というサイクルがうまく回ります。
ではタワー型のPCなんかではどうかというと、この場合はマザーボードもCPUも机の天板に対して直立している構成がほとんどです。よって、この場合はクーラーは横向きに寝かせて取り付けられることになります。こうなるとうまくヒートパイプの這わせ方を考えないと凝縮した冷媒がホット側に戻ってこないことになります。
例えば、CPUが左側にあり、ヒートパイプが右側にある場合、ヒートパイプを ┒ の形に作ってしまうと、右下に溜まった冷媒はCPU側には戻ってきません。この場合は ┚ こうパイプを配置するべきであります。
この辺りは私がくどくど書く必要もなく、先人たちによって検討されつくしております。
で、ヒートパイプを横や下向きに這わせる場合の対策もとっくの昔に行われております。代表的な策は毛細管現象を使って液化した冷媒をホット側に引き戻すという方法です。
ヒートパイプ 自作」という非常に魅力的なキーワードでGoogle先生に質問すると膨大な情報が返ってきます。MAKE:にも取り上げられています

物理的な熱の移動として伝導、対流、輻射の3つがよく取り上げられますが、ヒートパイプの考え方はそのどれとも異なる、いや伝導の拡張型といえばいいですかね、気化に伴うエンタルピー変化と生じた気体のパイプ内の高速移動の相乗効果を使える熱の搬送方式です。そのため体積当たりの熱搬送能力は非常に高いです。が、それも上に書いた「サイクル」が上手く回ってくれるかどうかで決まります。
長々書きましたが、総括すると一般的なヒートパイプを使ったCPUクーラーにも上記対策は行われています。がそれでも設置方向による特性の違いは避けようがないというのが現状のようです。

ではこのような状態のCPUクーラーをペルチェ霧箱に応用するとどうなるでしょうか。
これは簡単で「最も効率が悪そうな」使い方をすることになります。
ペルチェ霧箱のホット側は下側にあります。つまりクーラーが冷やす対象は床でも壁でもなく天井なのです。完全に倒置状態で動作させることになります。この場合冷媒をホット側に戻すのに重力は一切期待できず、というか重力は阻害要因でしかありません。

この辺を頭に入れつつCPUクーラーを使っていくことになります。
こんなこと考え始めると「ヒートパイプ 自作」というのが頭をもたげてくるのですが(笑)あんまり脱線すると収拾がつかなくなるので、ここはまず入手したクーラーをいじくりまわすところから始めたいと思っております。

ではどういじくるかですが、まずは入手した"みら太な日々的には高級な"クーラーの能力評価からでしょう。様々な設置方向と熱源の組み合わせでどの程度の冷却が期待できるかを調べていきたいと思います。
まずは実験系の構築です。MFT2016に霧箱を出展した時に作った温度計を使って温度計測を行います。


が、センサーをMFTで使った超薄型のもの(二枚しか持ってない)から通常のリードタイプのNTCサーミスタ(たくさんある)に変更します。このサーミスタはチップサーミスタにリード線付けて封止したタイプで、頭の大きさは1mmないくらいですのでまあまあのレスポンスは期待できるだろうと考えております。


何も考えずに47kΩのものを買ったのをちょいと後悔。薄型のものは10kΩ品なので換算式の計算をやり直す必要があります。これなかなか面倒なのであります。


長め&細めのリード線を準備し、


ハンダ付けします。



センサ部完了。


基板側コネクタ作ります。


元よりコネクタ作りは好きでしたが、このカシメ治具入手してから一段と楽しい作業になりました。日圧の純正品は目ん玉飛び出る値段ですが、こちらの中華治具はみら太な日々のレベルにあった良心的なお値段であります。


買ったのはコレ。ちょいと改造が必要でしたが、送料入れても2000円程度と良心的。


作っていきます。


芯線と被覆二か所のカシメを一発で行い、ピン全体を押さえますので変形は一切なくきれいに仕上がります。


出来上がり。


薄型サーミスタのスケッチのまま接続すると...


01が薄型サーミスタ、02が今作った47kオームの表示。めっちゃくちゃな温度指してます(笑


指であっためると変化するので動作はしているようです。あとは換算式ですね。


換算式についてはたくさん情報がありますので割愛します。例えばこの辺りにやり方が書いてあります。指数表現になっている関係式を温度Tで解いてやるだけです。Arduino の標準環境でも対数系の関数が使えます。以前はmath.hをインクルードしていたような気がしますが、いつの間にか使えるようになってますね。勘違いかな。

紆余曲折の後、(誤差は追及しないとして)それなりの温度表示をするようになりました。


冷やすとちゃんとそれっぽい値が。


精度はさておいてとりあえず温度の測定環境はできました。
ペルチェのホット側とコールド側で二本のプローブでいいでしょう。アナログポートは余りまくってますので数増やすのは簡単にできます。

次に駆動側を作ります。
通電しっぱなしでは制御もへったくれもありませんので、PWMで通電できるような駆動回路を作ることにします。
スイッチはジャンクのFET使うことにします。どこから外したのか全く覚えていませんがたくさんあります。


いずれペルチェを二段スタックにすることを想定して、2チャンネル分作っときます。
同じ品番のFETを探し出しました。


型番を元にdatasheet探します。それにしてもべんりな時代になったものです。
ひと昔前なら規格表とにらめっこか、そもそも規格表を見にどっかの店に行く必要がありました。


うまい具合に扱いやすいNchです。手持ちのペルチェは行っても一けたアンペアまでですので50Aの電流容量も十分です。


お約束としてdatasheetには一通り目を通しておきます。


ヒートシンク要らん説もありますが、こちらもジャンク品を多数取り揃えて(笑)いますので活用することにします。



これでいいかな。


ユニバーサル基板引っ張り出してレイアウト検討します。
PWM源はArduino nano の中華クローン、これにVRの分圧入れて、その電圧を元にPWMデューティを変化させることにします。
デューティー比はどっかに表示させたいとも思いましたが、そのためにもう一枚LCD使うのももったいないのでモニタ用のLEDのみつけることにしました。こ奴の点滅でおおよそのことは分りますし、正確な値が欲しくなればArduino のシリアルから抜けばいいだけです。ということでこんな感じの構成に決定。


ヒートシンクと、


VRの爪はユニバーサル穴には入りませんので、位置決めをしてドリルでバカ穴開けます。


これらを基準にして全体を作り込んでいきます。


今回ケチな新たな取り組みとしてアイロンビーズをスペーサ代わりに使うことを検討しました。
アイロンビーズはご存知ですかね。私には娘がおりませんのでいままで直接触る機会はなかったんですが、kama_AGEさんらのこの辺りのご活躍で初めてその存在を知り、店頭でものを見たときにどうしてもM3のスペーサにしか見えず(笑)、その驚安の価格もあっていずれ何かに使ってみたいと思っていた素材です。


で、今回入手してM3ねじを突っ込んでみたら、あら予想通りぴったりであります。
つか、スペーサとしてはぴったりではいけないのですが、M3の小ねじがちょうどいい硬さでねじ込めるというか、タッピングネジ使っているような感覚で締め込みができるのです。これは良いです。
このアイロンビーズについてはほかにもいろいろアイデアを温めておりますのでそのうち試していきたいと思います。色違いのビーズで文字表示したケース作るとかね。かわいらしいものが出来そうです。
アイロンビーズは、すごく安くて、しかしながらサイズが高精度にそろっていて、色が豊富で、熱で加工が出来て、というお子様たちだけに独占させるのはあまりにもったいない素材です。皆様もなにか考えてみてはいかがですか。


さて、配線を続けます。


nanoにピンヘッダつけて、


基板にはピンソケット立てて抜き差しできるようにします。



スズメッキ線でGNDラインを配線。


ゲートからキャリアを抜くための抵抗つけて、


ゲート抵抗つけて(適当


その他実装して、


VCC側と、


Logicを配線していきます。だんだん見苦しくなって行く(笑


つまみつけて出来上がり。


ペルチェは二段で、それぞれ5Vと12Vを印加することになると予想しています。


温度計測と基板をそろえたのでなかなか良い感じであります。


次のステップはPWM駆動のためのスケッチと動作テストです。