2019年6月30日日曜日

ミクさん1/2スケール試作 中心命題へ

 
さて、いよいよ頭部、そして顔へと進みます。ここがダメならこれまでの苦労が水の泡になる最重要部分であります。
Animu氏のデータでは頭部はもちろんのこと、全身がつながった状態のデータです。それをこれまでちまちま分割してきました。
頭についても左右の髪(ツインテのながーい髪ね)、顔、前髪、そして後頭部に分割しています。これはツインテは一体造形できないのと、顔を肌色でプリントしたいためでした。この状態でプリントしても良いのですが、ヘッドホンを分離していません。もちろん塗りで逃げることもできますが、ここも別パーツとして白でプリントしたいじゃないですか。ということで分割作業をしました。そしてさらにプリント後の結合のために勘合部の形成も行いました。fusion360とMeshmixerをフル活用です。Meshmixerはすでにやりたいことはほぼできるようになりました。ので着手当初から考えると段取りの予想もできますし、使うツールも難しそうなポイントもすべてわかります。

では行きます。まずはfusion360でヘッドホンのイヤパッドをモデリングするところからです。

ツインテと前髪を除いたSTLファイルをMeshmixerで描き出してfusion360に読み込みます。誰だお前という感じであります。
例によってfusion360ではSTLデータに対してはほぼ何の編集もできません。参照用です。


フォームでイヤパッドを作っていきます。


ミクさん、正確には2015レーミクさんのヘッドホンのイヤパッドはひし形というか盾形なんですが、それを意識しつつもあんまり忠実にはモデリングしていません。
あとでわかりますが、イヤパッドはほとんど髪で隠れてしまうのです。ということで若干手抜き作業となっています。ご了承くださいませ。

で、フォームの修正で変形していきます。




この位置で大体の形を整えて、


STLにめり込ませ(笑)て、


顔の輪郭に沿ってさらに変形させていきます。


おおよその形が整ったら、ミラーコピーして左耳の分を作ります。


ミクさんはちょっと首をかしげていますので適切に位置合わせをしていきます。


右のイヤパッドにはマイクが付きますので、マイクの根っこらしきパーツ、といいながらイヤパッドを縮小コピーしたものを配置して、


円筒をAlt押しながら(fusion360お使いの方はわかるはず)伸ばしていって、


うまい具合に変形していきます。このあたりは文章で説明のしようがないです。


マイク本体もイヤパッド(笑


位置関係を再確認したら、


勘合用の突起を立てます。


反対側も。


最終確認したら、左右とマイクを別々にSTL出力します。


ここからはMeshmixer。Fusion360で出力したイヤパッドをインポートして大きさを整えます。例によって読み込み直後のイヤパッドはミクさんの身長の倍くらいあります(笑



縮小して、


位置を決めて、


ブール演算して重なり部分を除去します。


前髪ともブール演算するのを忘れずに。


続いて右のイヤパッド。


同じようにブール演算して、


切り取り部分を整えていきます。
飛び出している要らない部分を選択してfで削除&再形成します。

鋭い縁の部分をブラシで整えます。


右も。



続いて顔の部分と重なる部分のブール演算をします。


鋭いところは削除して、


検証で穴を埋め戻します。


最後にツインテとのブール演算。ね、ほとんど見えないでしょ。


削除部分を、


整えます。これでイヤパッドの分離と周辺部の整形は完了です。


続いて勘合部の形成を行います。
まずツインテ。楕円(ここだいじ)の棒を突っ込みます。楕円にしておかないと向きも定まらないし、くるくる回ってしまうのです。


顔も同様に棒を出します。ここは楕円でも円筒でもどっちでもいいです。周りに位置を決める合わせ面がたくさんあります。


それぞれの棒とブール演算して後頭部に穴を開けます。だんだん何だかわからない何かになっていきます。さらに、顔と当たる部分は面でカットしておきます。この面を基準にしてプリントするためと、顔を合わせたときに逃げがないと、顔に反りが合ったりしたときに浮いてしまう可能性があるためです。


透視で。穴だらけです。イヤパッドx2、ツインテ、顔の計5つです。


全部を合体させるとこうなります。


いよいよ頭部のプリントに入ります。

サポート材の除去ツール

 
プリントしまくっておりますとサポート材を外す作業が多くなります。
特に今取り組んでいるミクさんの様に外観が非常に重要になるプリントでは、サポート材の跡が極力目立たないようにすることが大事であり、そのためにモデリング時点から形状や分割ポイントを考えたり、それでもだめなら無茶な向きでプリントしたりします。
ミクさんはすべてPLAでプリントされています。PLAを削ったことがある方は同意いただけると思いますが、PLAは非常に削りにくいです。快削材ではありません。
なんといっても粘ります。やすりで削れば表面からはがれて粉にはなるのですが、一部は粘土状というか、消しゴムのかすというか、そんなものになって成形物にまとわりつきます。で、さらに削って温度が上がるとすぐに溶けてゴムみたいに変形します。全く扱いにくい材料なのです。ので、できるだけ削りによる修正をしなくていいようにプリントの品質を上げることが重要になるわけですが、サポート材だけはそういうわけにはいきません。ということで、プリント後にサポート材を除去する作業が非常に重要になります。
そこで今回このミクさんのプリントのためにいくつかの新しいツールを導入しました。

それがこちら。レシプロ動作をするエア駆動やすりです。
レシプロ動作というのは往復動作のことで、ピストンが往復する車のエンジンを(ロータリーエンジンに対比して)レシプロエンジンなどと呼んだりします。


ツールを見ただけではよくわかりませんが、


ツール先端のこの部分に、


このアタッチメントで、


この写真は無理やりですが、こんなイメージでやすりを固定すると、ヘッド部分が前後方向に高速に往復してやすり動作をするものです。


この往復動作はストロークこそ0.5mm程度と小さいですが、1分間に5万往復といった恐ろしく早いものです。
結果としてその操作感は「当ててるだけで削れていく」感じとなります。ストロークが小さいので材にツールを当てていても前後にゆすられる感じはほとんどありません。バイブレータを握りこんでいるような振動を感じるのみです。
熱という点ではPLAとの相性はいまいちですが、きれいな面を出したいときに仕上げで使うには良いツールです。
ちなみに$40ちょっととそれなりの値段がします。今回購入したのはこちら。


AliExpress.com Product - Air Micro Grinder Ultrasonic Reciprocating Oscillating File Pen Type Polishing Machine Grinding Buffing Sanding Tool

今回導入したレシプロタイプのほかに、以前から使っているのが下の写真の赤いやつ。回転タイプのエアグラインダです。
動作は一般的な回転型ですが、これまた5万rpmといったモータではなかなか実現しにくい超高速で回転します。回転数が非常に高いため、これまた操作感は独特で、少なくとも普及タイプのモータ式回転ツールを持っている感じとは違います。回転方向に持っていかれる感じはほとんどありません。当てるだけ、であります。
エアグラインダは持ち手も細くて握りやすく、刃先が近くて取り回しも楽、そして電動モータタイプと違ってエアモータは空気の流れで冷却しながら回るので本体が熱を持ちません。さらに連続定格ですので一日中動作させても大丈夫です。やりたくありませんが(笑


実際にサポート跡を処理してみましょう。


コンプレッサー出してきます。
ツールの素晴らしさは前述の通りなのですが、このコンプレッサーが必須であるのが巨大な問題であります。


このヒールの谷間に残るサポート材の跡を削ってみます。


ほらこんなにきれいになりました、と説明したいのですが、写真では全く分かりません(笑 残念。


もう少しわかりやすいものを削ってみましょう。
ちなみに、私が良く使うハンドツール。上の二つはモータタイプ。このほかにリョービの100Wリューターと、さらに大きな300Wのリューターがあります。


ここで今回導入したもう一つのツール。
Twitterのリプライで教えてもらったジルコニアやすり。


名前の通りジルコニア、ジルコニウム酸化物でできたやすりです。ジルコニアというとセラミック鋏、セラミック包丁なんかで有名になった真っ白な焼き物です。非常に硬度が高い上にセラミックとしては非常に靭性が高い材料です。結晶化したものは透明度と屈折率が高いのでキュービックジルコニアという呼び名でダイヤモンドに似た石としてアクセサリなんかに多用されてますね。
今回は4段階の粗さで購入してみました。


この部分のサポート跡を削ってみます。


一番目の粗いものをエアグラインダ使いました。
一撃であります。撫でていく感じで面白いようにサポート材の残骸が吹き飛んでいきます。
粗めなので目詰まりしにくいし、おそらく熱的な特性も効いているのかな、粘りのある切粉が出ることもありません。切削部分の温度上昇が少ないものと思われます。


もう一つ削った例を。
この部分は小さかったこともあり、ちょいと気合を入れて3番目の粗さで削ってみました。
サポートがついていた跡がわかります?これ、カラーの内側ですから全面にびっしりサポート材がついていたところです。それがこんなにつるつるになるのです。素晴らしい。


今回購入したジルコニアやすりはこちら。2000円台とこれまた若干高めの値段ではありますが、1本あたり500円ですし、PLAを削っている限りはまず刃が欠けるということは考えなくてよいので長持ちします。持ってて絶対に損はないツールだと思います。


AliExpress.com Product - White Cotton Dental Polishing Cloth,3x40,dental lab material

ちなみに、エアグラインダ、電動グラインダ両方で使ってみましたが、どちらでも非常によく削れます。エアグラインダとの組み合わせがより良いと思いますが、電動でも使い勝手は変わりません。